博報堂のソーシャルデザイン専門組織「hakuhodo i+d」は13日、認知症患者とその家族を取り巻く課題をデザインの力で解決することを目指す研究プロジェクト「認知症+designラボ」を立ち上げ、活動を開始した。プロジェクトは、九州大学大学院芸術工学府・統合新領域学府 清須美研究室、および認知症専門介護施設「あやの里」と共同で実施するものだ。
厚生労働省が昨年9月に発表した「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」によると、国内の認知症患者数は305万人にのぼる。プロジェクトは、こうした状況下、患者が自分らしく人生を楽しむことができるような仕組み・サービスのアイデアを創出し、患者のケアやQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上につなげたいとしている。
「hakuhodo i+d」がこれまで「避難生活」「食品流通」「震災復興」「超高齢社会」といった社会課題の解決に向けてデザインアイデアを生み出してきた経験や、全国の認知症患者家族に向けて行った調査の結果、九州大学清須美研究室の「人間の感性」に関する知見、さらに「あやの里」が持つ介護現場での経験を連携させ、課題解決に向けたワークショップの実施や、ツールの開発などを行っていく。
取り組みの第1弾として、プロジェクトが独自に開発した認知の維持を図るためのワークショップを、19日に「あやの里」で開催する。ワークショップは、普段、人との交流が少なくなりがちな患者同士のコミュニケーションの場としても活用していきたい考えだ。
今後、同様のワークショップを3月から9月にかけて熊本市内や九州大学で実施し、10月にはプロジェクトの成果報告会を実施する予定。また清須美研究室の授業の一環として、学生とともに患者の家庭を訪問し、患者とその家族の課題を発見、解決方法を考える取り組みも予定している。
【修正履歴】
2013/2/19 本文2段落目に誤植がございましたので、訂正致しました。
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